議会はたった3カ月!市議会議員の仕事とは?給料や兼業の状況についても解説

最も身近な政治家である市議会議員。

でも市議会議員ってどんな仕事をしているんだろう?

意外と市議会議員の仕事内容ってよくわからないですよね。

若い世代を中心に政治に対して無関心な人が多いのが事実ですし、ましてや市議会議員について関心がある人は少ないのは事実かもしれません。

しかし、そんな中、市議会議員の仕事内容に興味を持ってこのコラムを開いてくださっているあなたは日本の将来にとって重要な存在です。

この記事では市議会議員の仕事内容に加え、市議会議員の給料や兼業についても解説しています。最後までお読みいただければ、市議会議員の仕事内容や活動を具体的にイメージできるようになるので、是非お付き合いください。

市議会議員とは

市議会議員とは、市議会において提案された議案に対し意見を述べたり、質問をしたりすることによって議案を審議し、市民の意見を政策に反映させることが主な仕事です。

選挙権を有する25歳以上の日本人で立候補する市内に3ヵ月以上住んでいれば、誰でも立候補することができ、任期は4年となっています。

市議会議員に求められる役割は、主に2つあります。

1つは市民の意見を集約して市議会を通じて政策に反映させる役割で、もう1つは市の予算や政策が正しく行われているかをチェックする役割です。

地方分権の進展が叫ばれる中で、市議会議員の役割は益々重要になってきています。

市議会議員の仕事内容を徹底解説!

市議会議員の仕事内容のイメージで最初に思い浮かぶのは市議会に参加して議論することかもしれません。しかし、実は市議会の開催日数はそう多くありません。

市議会は年4回(3月、6月、9月、12月)開催される定例会と必要に応じて開催される臨時会があります。

ただ、定例会が年4回開催されるといっても、1年間当たりの平均会期日数はわずか87.3日なのです。3カ月弱です。

ではそれ以外の期間は何をしているのでしょうか?遊んでいるのでしょうか?

もちろんそんなハズはありません。

まずは、一年の大部分を占める市議会がない期間に何をしているのか見ていきましょう。

議会の閉会中の仕事内容

閉会中は次の市議会に向けた準備期間です。

この期間では、市議会の開催期間にはなかなかできないこと、すなわち市民の意見をできるだけ聴くことに力を注ぎます。議会がない約9か月間でしっかりと市民の意見を吸い上げ、次の市議会で反映すべく議案を準備します。

市民の意見を幅広く聴くために、多くの場所へ足を運んで、いろいろな職業の人(商店街など)に話を聴きます。

市議会議員自ら主催するタウンミーティングを開催して、市民の要望を聴いたり、市の課題について説明したり話し合ったりすることもあります。

ただ、市議会議員のもう一つの役割も忘れてはいけません。行政のチェック機能を果たすために、常に市の予算や政策の状況を注視しておく必要があります

気になることがあれば市役所の担当に連絡を取り、必要があれば説明を求めたりします。

議会の会期中の仕事内容

この期間の仕事内容は、言わずもがな議会への出席です。

閉会中にしてきた準備の成果をここで発揮します。

議会では、市長(行政)や議員から提出された議案の審議や議決を行います。閉会中に市民から集めた意見を反映させた議案も、ここで提出します。

もう一つ議会内での大切な仕事があります「一般質問」です。

市長を始めとした「行政」に対して疑問点を投げかけることで市の予算や政策のチェック機能を果たすのです。

若手・女性不足で市議会議員の仕事が大変なことに

これまで書いてきた通り、市議会の仕事は市民の声を反映することです。

しかし、市議会議員が特定の人の意見ばかりを聞いていたらどうでしょう。困ってしまいますよね。

市議会議員も人間なので、自分と近しい人の意見の方がどうしても聞きやすいものです。

全国の市議会議員の性別を見ると、男女の割合は男性84.8%、女性15.2%と圧倒的に男性議員のほうが多く、女性議員は2割にも達していないのが現状です。

女性の市議会議員の割合が低いままだと女性の意見を集約することが難しくなります。

また、市議会議員の年齢構成を見ると次のような結果になります。

30歳未満0.3%
30歳以上40歳未満4.9%4.9%
40歳以上50歳未満13.5%
50歳以上60歳未満24.1%
60歳以上70歳未満40.3%
70歳以上80歳未満16.3%
80歳以上0.6%

出典:全国市議会議長会「市議会議員の属性に関する調(平成30年8月集計)」

最も多いのは「60歳以上70歳未満」40.3%で、60歳以上の割合が57.2%と半数以上を占めています。

2番目に多い「50歳以上60歳未満」24.1%を含めると、50歳以上の割合は81.3%と実に8割を超えています。

以上のことから、市議会議員の課題の1つは、高齢者の割合が多い一方、30~40代の割合が少ないという点です。

どうして30~40代の若者は、市議会議員になりたくないのでしょうか。

最も大きな原因の1つは、市議会議員は4年ごとに改選されるため、身分保障がないからです。

これは30~40代の若者の多くが定職に就いていることから、身分保障がないという大きなリスクのある市議会議員に立候補するという選択が難しいからです。

また、市議会議員といっても市の人口によって報酬に格差があることから、住んでいる自治体によっては生活するために必要な収入が得られないという事情もあります。

30~40代の若い世代の市議会議員がいないと、同年代の市民の意見を集約して政策に反映させることは難しくなります。

市議会議員の給料ってどれくらい?

市議会議員になりたいという人にとって、市議会議員の仕事内容と共に知りたいことは給料ではないでしょうか。

市議会議員の給料は税金から支払われていることから、市の人口や財政状況などに影響を受けます。

全国の市議会議員の平均報酬月額は42万2千円ですが、人口が多い自治体ほど給料が多い傾向にあります。

例えば、2つの自治体の報酬月額を比べてみると、神奈川県横浜市(人口約373万3千人)が95万3千円であるのに対し、北海道夕張市(人口約8千人)は18万円となっています。なんと、5倍以上の開きがあるのです

市議会議員って兼業もできるの?

ここで、「市議会議員の給料って意外と少ないじゃないか…」と不安になった方は、兼業の可否も気になってくると思います。

兼業については、地方公務員が地方自治法で原則として兼業禁止とされているのに対し、市議会議員は兼業を認められています。

ただし、一部の職(国会議員や市町村長など)との兼業は禁止されています。

実際に全国の市議会議員のうち、45.1%の議員が兼業しており、専業議員の43.9%を上回っています。

市議会は1年のうち3カ月程度しか開催されません。閉会中にも議員としてすべきことはありますが、それ以外の空いた時間で別の仕事も行う方が多いようです。

また、選挙で落選して失職してしまうリスクに備えるという事情もあります。

いま市議会議員だからといって、次の選挙でも必ず当選するとは限りません。選挙で落選して突如収入がなくなってしまうと大変です。そうならないためにも、兼業で議員以外の収入を作っておくのは大切です。

まとめ

市議会議員の仕事は、議会に出席して以下の2つの役割を果たすことです。

・市民の意見を集約して市議会を通じて政策に反映させる役割

・市の予算や政策が正しく行われているかをチェックする役割

議会が開催される期間は1年間で3カ月弱なので、議会がない期間も含めて市民の声に耳を傾けたり、勉強したりしています。

しかし、市議会議員の仕事を巡っては、女性や若い世代の民意を反映しづらいという問題点もあります。この原因は、女性議員・若手議員が少ないことです。
市議会議員のなり手が不足が問題になっているなか、若手や女性で市議会議員を目指している方は非常に貴重な存在といえます。