国会議員って何人いるの?どの政党の人数が多いの?
そもそも、国会議員の人数はどのように決まっているのだろう?
日本の国会議員って世界の他の国と比べて多いの?
国会中継などで多くの国会議員が映っている映像を見ることはあっても、実際のところ何人いるかは意外とわからないですよね。
でも、大丈夫です。この記事を読むことで、これらの疑問が全てクリアになります!
さらに、たびたびニュースで取り上げられる議員定数削減や是正といった問題についても解説していきます。
目次
議員定数=法律で定められた議員の最大人数
議員定数とは、欠員が無かった場合の議員の最大人数のことです。
選挙後に退職や死亡などにより欠員が生じる場合もあり、必ずしも議員定数と実際の国会議員の人数が一致するとは限りません。議員定数は人口または有権者数を基礎に割り出されており、法律で人数を定められています。
現在の衆議院と参議院の議員定数
国会議員の議員定数は公職選挙法という法律によって定められています。その中の第4条でそれぞれ衆議院と参議院について決められています。
衆議院議員の定数は465人(小選挙区289人、比例代表176人)
参議院議員の定数は248人(比例代表100人、選挙区148人)
2019年現在、衆参両院の国会議員の議員定数を合わせると、713人となります。
戦後日本における議員定数の変遷
衆議院の定数の変遷
- 1947年:466議席、新憲法による衆議院議員選挙法基づいた中選挙区制
- 1950年:466議席、「公職選挙法」を制定
- 1953年:467議席、定数増加+1
- 1964年:486議席、定数増加+19
- 1971年:491議席、定数増加+5
- 1975年:511議席、定数増加+20
- 1986年:512議席、定数増加+1
- 1992年:511議席、定数削減-1
- 1994年:500議席、定数削減-11(小選挙区比例代表並立制導入)
- 2000年:480議席、定数削減-20
- 2014年:475議席、定数削減-5
- 2017年:465議席、定数削減-10
1993年に従来の中選挙区制から現在の小選挙区比例代表並立制になり、それに伴い議員定数は削減されていき、現在の衆議院の定数465議席は憲法施行後最少となっています。
参議院の定数の変遷
- 1947年:250議席、第1回選挙
- 1970年:252議席、定数増加+2
- 2001年:247議席、定数削減-5
- 2004年:242議席、定数削減-5
- 2019年:245議席、定数増加+3
- 2022年:248議席、定数増加+3
2018年に自民党などが提出した改正公職選挙法が成立したことにより、参議院の定数は1970年(昭和45年)以来の増加となります。2004年から定数増加は+6となり、2019年夏の参議院選挙から適用されます。
2019年夏の選挙前の参議院の最大定数は2004年に定められた議員定数なので242人となっています。
参議院は3年ごとの選挙で半数を改選するため、まず2019年の選挙で3議席増加、2022年の選挙で3議席を増加し、最終的に議員定数が248人となります。つまり、実際に参議院議員の最大人数が248人となるのは2022年の選挙以降となります。
現在の日本の国会議員の人数は709人
衆議院の議員定数は465人、参議院の議員定数は248人ということが分かりましたね。
衆議院と参議院それぞれの現在の国会議員の人数は
衆議院議員:欠員が0名なので、定数の465人(2019年7月26日現在)
参議院議員:欠員が1名なので、244人(2019年9月7日現在)
合計すると現在の国会議員の人数は709人となっています。
次に衆議院・参議院の政党別の国会議員の人数を、表をもとにみていきましょう。
政党別の国会議員の人数、与党議員は全体の64%にのぼる
(衆議院:2019年7月26日現在)
(参議院:2019年9月7日現在)
※カッコ内の数字は女性議員の人数
衆議院 | 参議院 | |
自由民主党・無所属の会 | 285(22) | |
公明党 | 29(4) | 28(5) |
立憲民主党・無所属フォーラム | 70(15) | |
国民民主党・無所属クラブ | 39(2) | |
日本共産党 | 12(3) | 13(5) |
日本維新の会 | 11(1) | 16(3) |
社会保障を立て直す国民会議 | 8 | |
社会民主党・市民連合 | 2 | |
希望の党 | 2 | |
無所属 | 7 | |
自由民主党・国民の声 | 113(19) | |
立憲民主党・民友会・希望の会 | 35(9) | |
国民民主党・新緑風会 | 25(8) | |
沖縄の風 | 2(0) | |
れいわ新選組 | 2(1) | |
碧水会 | 2(2) | |
みんなの党 | 2(0) | |
各派に属しない議員 | 6(4) | |
合計 | 465(47) | 244(56) |
与党である自民党の衆議院議員は285人、参議院は113人です。衆参両院における自民党議員の人数は398人となり、国会議員全体の人数(709人)の半数以上を占めています。
さらに、公明党の衆議院議員29人、参議院議員28人と自民党議員の人数を合わせると、与党議員は全部で455人となり、全体の約64%にのぼります。
一方、野党の各党・各会派の議員の人数を合計すると、衆議院議員が151人、参議院議員が103人となります。
例えば、最大野党である立憲民主党を中心とした会派でも衆議院では70人、参議院では35人です。与党である自民党・公明党の衆議院議員は314人なので最大野党の衆議院議員のおよそ4.5倍もの議席が与党によって占められています。
女性の国会議員は少ない
国会議員全体における女性議員の人数は現在(2019年7月26日現在)103人です。女性議員が0人である会派も多くあります。
女性議員の占める割合は
衆議院議員では約1割(465人中47人)
参議院議員では約2割(244人中56人)
衆参両院を合わせた国会議員全体の人数では女性議員は約14%となります。
日本の国会議員における女性の割合は決して高くないことが分かります。
日本と世界における国会議員の人数を比較!
人口100万人当たりの議員定数を日本と世界で比較していきます。(参考資料: 佐々木憲昭「OECD諸国の国会議員1人当たりの人口、人口当たりの議員数(2011年)」、「選挙制度協議会報告書(2014年)26ページ図1参照)」を基に算出)
日本の国会議員の人数は世界の中でもかなり少ない
この表は人口100万人あたりの議員定数です。
100人以上 | アイスランド:210人 |
50人以上 | エストニア:77.7人 |
50人未満25人以上 | スウェーデン:37.1人ギリシャ:26.3人 |
25人未満10人以上 | イギリス:23.6人イタリア:15.6人フランス:14.6人カナダ:12.4人 |
10人未満 | ドイツ:8.3人韓国:6.2人日本:5.6人アメリカ:1.7人 |
アイスランドは一院制なので、二院制の日本と全く同じように比較するのは難しいですが、人口100万人に対し、議員定数は日本の37.5倍です。
なお現在の日本の総議員定数は5.6人です。これは主要34ヶ国中33位で、人口に対する国会議員数が世界の主要国の中でも非常に少ないことが分かります。
日本の女性議員の比率も世界的に見て少ない
国名 | 比率(%) |
ルワンダ | 55.6 |
キューバ | 53.2 |
ボリビア | 51.8 |
スウェーデン | 47.3 |
スペイン | 39.2 |
フランス | 36.8 |
イタリア | 35.2 |
ドイツ | 31.6 |
カナダ | 31.6 |
イギリス | 28.9 |
中国 | 24.9 |
アメリカ | 23.8 |
韓国 | 17.1 |
ロシア | 16.4 |
エジプト | 14.9 |
日本 | 13.8 |
(参考:列国議会同盟の公表資料2019年2月1日現在。二院制国家は両院の合計人数を基に算出)
第1位はアフリカのルワンダ(55.6%)で、2位キューバ、3位ボリビア、と上位に中南米地域の国々がランクインしています。日本は先進7ヵ国(黒太字)中、最下位の13.8%という女性議員の比率です。
世界全体でみると、女性の国会議員比率は1995年の11.3%から、2019年1月には24.3%まで上昇しました。日本の女性議員比率はいまだ1995年の世界の状況に近く、女性議員の割合がとても低いといえます。
議員定数の是正や削減とは?
議員定数の是正や議員定数削減の話をニュースで耳にすることがあります。これは、簡単にいえば国会議員の人数を増やすべきだ!減らすべきだ!といった議論です。
ではなぜ国会議員の人数を改める必要があるのか、それがどうして議論になるのでしょうか?
結論としては、「各選挙区で、議員数と有権者数の比率をなるべく同じにしたい」からです。
例えば、平成27年の国勢調査によると、参議院議員一人当たりの有権者数が最も多かったのが埼玉県で約120万人、最も少なかったのが福井県で約39万人でした。なんと3倍以上です。
埼玉県の政治家が当選するためには、福井県の政治家と比べて、それだけ多くの票を集めないといけないということです。これはつまり、埼玉県民の1票が当選に与える影響は、福井県民の1票の1/3以下であることを意味しています。
このように、各選挙区の間で投票価値(1票の重み)に差が生じることを、「一票の格差」と言います。日本の国民は皆平等のはずなのに、1票の価値にそこまで差があるのはおかしいですよね。
ですので、「議員定数の是正」と言って、人口の増減に合わせて議員定数も増減させる必要があるのです。
一方で、「定数を減らそう」という議論を国会で行うのは困難であることも事実です。
なぜなら定数を減らす、というのは当選できる国会議員の人数を減らすことだからです。今の仕事を失う可能性が高まる方向に、わざわざ自分たちで法律を改正したくないですよね。
そこで、2019年の参議院選挙では、埼玉県での議席数が「3」から「4」に増やしました。
これによって前回の参議院選挙で3倍以上あった一票の格差は、3倍以下に縮まりました(それでも最大2.985倍でしたが…)。
まとめ
国会議員の議員定数は公職選挙法によって定められています。衆議院議員は465人、参議院議員は248人です。現在の国会議員の総議員数は709人で、衆議院議員が465人・参議院議員は244人となっています。
また日本の人口100万人当たりの総議員定数は5.7人で、女性議員の議員比率も衆参両院で約14%です。どちらも世界と比較するとかなり少ない人数です。
選挙の際に話題に上がる、議員定数の是正とは、人口比による議員定数の不均衡を修正し、一票の格差を縮小することをいいます。格差を少しでも減らすために、議員定数を増減したり、選挙区の区割りを変更したりすることを行っています。
いかがでしたでしょうか。国会議員の人数や議員定数について具体的にイメージをつかめたと思います。特に選挙に関する法律は改正された後にすぐ選挙があるわけではないので、混乱してしまうこともあるかと思います。ニュースなどで数字に着目してみるのも良いでしょう。