国会議員の仕事って?議員の仕事ぶりが一発でわかる3つの数字

国家を動かし世間を賑わす華やかな職、国会議員。

でも実際にどんな仕事をしているかは知らないという人も多いのではないでしょうか。

ニュースでは豪遊、失言、不倫などネガティブな面を取り沙汰されることも多い国会議員ですが、実際は法律と政治に関して考え、勉強し、議論する多忙な毎日を送っているのです。

この記事を読めば、国民の代表として国家運営に関わる国会議員が具体的に何をしているのかがわかり、国会議員の1日が想像できるようになるでしょう。ぜひ最後まで読んでください。

国会議員の主な仕事は法律を考え、政治を見つめ、知識をつけること!

国会の本質は、国民の代表として国家運営をスムーズに行うことにあります。それはつまり何をすることなのでしょうか。大きく3つに分けてご紹介します。

国会議員の仕事①:法案の提出、審議

国会議員にとっての大切な仕事に、法案を立案する仕事と、本会議で討論をする仕事があります。

国会議員には新しい法律の基となる法案を作成し議会に提出する権利があります。

議員によって提出された法案は議長に受け取られ、まず少人数からなる専門的な委員会で議会全体で議論するに足るものか審議されます。

審議を無事通った法案は、全ての議員の話し合いの場である本会議へと提出されます。

本会議では提出された法案について全ての議員で法案の成否を討論し、全体の承諾を得た法案は晴れて法律として成立するのです。

このように、法律は起草から成立まですべて国会議員の仕事によって成り立っています。国民のルールとなる法律を慎重に考え、話し合うことは国会議員が最も大事にしている仕事のひとつと言えます。

国会議員の仕事②:行政権の監視

三権分立、どこか懐かしい響きのある言葉ではないでしょうか。国会はこの三権のうち立法権を担い、行政権を監視する立場にあります。国会議員にも行政を監視する義務があり、常に内閣がどのような政治を行なっているかに気を配る必要があります。

特に、内閣から提出された予算の審議内閣総理大臣の選出はニュースでも取り上げられる大事な仕事です。

国会議員の仕事③:立案、討論に向けた勉強会

この他に、行政に関して自分が良識に反すると思うようなことがあれば議院全体の議題として国会に提出することができます。

法案の作成には法律に関わる膨大な知識が必要になります。また法案の提出は11人以上の議員で行う必要があり、事前に議員仲間とよく相談する必要があります。

予算審議で質問をする際にも的を射た質問をするためには豊富な見識が必要となります。

これらのために、国会議員は日頃から様々な業界の団体との意見交換議員、官僚との会議をしており、これらも大切な仕事に含まれます。

国会議員の仕事ぶりがわかる3つの数字

国会議員の仕事ぶりは以下の3つの数字に注目すればわかります。

  • どの程度法案を出しているかを示す「議員立法数」
  • どの程度討論に貢献しているかを示す「質問数」
  • 行政の様子にいかに気を配っているかを示す「質問主意書数」

それぞれについて見ていきましょう。

国会議員の仕事ぶりがわかる数字①:議員立法数

国会議員が法案を作ることは内閣による法案と区別して、「議員立法」と呼ばれます。

議員が何回立法に携わったかは「議員立法数」によって知ることができます。この数字が多い議員はそれだけ多くの法案を考え、提出しているということです。

また、法案作成に向けた勉強にもそれだけ多くの時間をかけていることになります。一般に議員立法は準備と実行にかなりの時間と労力がかかるため、国会1回あたり3回以上している議員はかなり多くの活動をしたと考えて良いでしょう。

ちなみに186国会での最多回数は衆議院の畑議員による11回でした。

国会議員の仕事ぶりがわかる数字②:質問数

法案を審議するにあたって、国会議員は質問をすることができます。

法案の内容に合わせて、疑問点や問題点を的確に指摘する質問を考え、議長に提出することは国会議員の大切な仕事です。

議員が国会で何回質問したかは「質問数」という数字で表されます。この数字が多い議員は積極的に議論に参加しているということです。

逆に、この数字がゼロだと、議論で自分の意見を発信しない、あるいは議会に向けた十分な勉強と準備をしていない可能性があります。

質問には所属する政党の議員数による時間の制約があり、NPO法人「万年野党」では1回の国会あたり16回以上でかなり多くの質問をしたと評価しています。

なお、183国会での最多回数は衆議院の笠井議員による66回でした。

国会議員の仕事ぶりがわかる数字③:質問主意書数

行政権の監視についても、国会議員には具体的な役割がます。それが質問主意書の作成です。

やや耳慣れない言葉ですが、要するに内閣の不透明な仕事に対して「それはどういうことなんですか」と問いかけるということです。国政のあらゆることに質問できること、議員1人から提出できることから、多くの議員が仕事として積極的に行なっています。

内閣はこの書類に対して7日以内に答弁書を提出する義務があり、立法権から行政権への直接的で強力な監視の役割を果たしています。

質問注意書を作成した回数は「質問主意書数」で知ることができます。質問注意書数の多い議員は内閣の行政の動向を常に気にかけ、気になることがあったらすぐに問題提起をしているのだということがわかります。

この質問主意書数は議員による数の違いが大きく、186国会での最多は衆議院の鈴木議員による143回でしたが、次ぐ2位は衆議院辻本議員の27回でした。5回以上の提出でかなり多くの提出をしていると言えます。

以上の「議員立法数」「質問数」「質問主意書数」の3つの数字は議員の仕事をわかりやすく指標化したものです。これらが全て0であることは「トリプルゼロ」と呼ばれ、トリプルゼロの議員は「ちゃんと仕事をしているのか?」と新聞やニュースで非難を受けることがあります。

予定ぎっしり!国会議員の1日のスケジュール

実際の議員の1日について見てみましょう。以下は議員のスケジュールの一例です。

9:00   議員会館の事務所に出勤
9:05   スケジュール確認を兼ねたミーティング
10:00 議事堂本館で委員会の会議
12:00 所属する党の議員総会
14:00 事務所内勉強会
14:30 議院本会議に出席
17:30 海外団体とミーティング
19:00 業界団体と食事を兼ねた意見交換会
22:00 終業、帰宅

9時には出勤し、終業は夜10時とかなり過密なスケジュールとなっています。また、法案作成や討論に向けた会議、意見交換、勉強会が大半の時間を占めていることがわかります。

週末には地元の支持者の元に挨拶周りをしたり法案関連の団体やNPO法人と親交を深めたりと、平日のみならず休日も政治活動で大忙し。2ヶ月のなかで休みが1日しかない議員もいるそうです。

また、意見交換や勉強会を兼ねた食事会は国会議員として働くには必須でありながら、正規の仕事ではなく自主的な個人活動とみなされます。そのため仕事と生活の区別が曖昧となることに厳しさを感じる議員も少なくないそうです。

まとめ

いかがでしたか?
国会議員は、法案提出、討論、予算審議、総理大臣の選出、といったメジャーな仕事に加えて、勉強会や意見交換と多様な仕事を日々ハードにこなしていることがおわかりいただけたと思います。

議員立法数、質問数、質問主意書数の3つの数字はニュースや新聞でも広く取り上げられる数字なので実際に注目してみると議員の仕事ぶりがわかり、選挙の投票先を考える際にも役立つでしょう。